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メディア――そこは最後のフロンティア。

ここはクイズ形式の例題を読み解いてみることで、
ネットやメディアに潜む罠について考えようというサイトです。
初めての方はぜひ「ご挨拶」を。
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例題
あなたと同じ会社の別の支社に、Aさんという男性がいます。彼が女好きだという噂を耳にしました。「飲食店で女性の店員にばかり声を掛ける」「すぐに若い女性の脚に目をやる」ということです。

Aさんと同じ支社の信頼出来る友人に確認したところ、どうやらその噂は事実のようです。そこであなたは思います。

「なるほど、Aさんという奴は確かに女好きらしいな」

……そう思ってしまっていいのでしょうか?


ここがおかしい――
確かに上記の噂が事実であった以上、Aさんが女好きであることは間違いないように思えます。しかし果たしてそれが“度を越した”女好きだと言えるでしょうか?


そして、じつは――

Aさんと同じ支社のBさんが、出世争いのためにAさんのどうでもいいような欠点を、ことさら重大であるかのように喧伝していたのでした。


解説
もちろん「部下の女性に対してセクハラをした」とか「電車で痴漢に及んだ」などと、Aさんが明らかに反社会的行為を取ったのであれば、話は別です。

しかしけして褒められた行為ではないにしろ、「飲食店で女性の店員にばかり声を掛ける」「すぐに若い女性の脚に目をやる」というのは、社会的に逸脱しているとまでは言えません。大多数の男性は程度の差こそあれ、身に覚えがあるはずです。女性の方でも、カッコいい男性にはついつい目が行ってしまうと思います。

言い換えれば、Aさんのそれも他の人間と同程度であって、彼だけが特に女好きということではないはずです。

「好色である」「金に目がない」「足が臭う」――これらは程度の差こそあれ、大多数の人に当て嵌まります。また「大雑把である」「神経質である」などというのも、そのどちらにも当て嵌まらない人は少数派でしょう。

そうした「ある程度の範囲内であれば許容されること」「多くの人間について当て嵌まる性癖」について、それをことさら悪く言うことで、特定の人や集団に対して悪いイメージを抱かせることが出来ます。

なお、これに似たようなケースとして、解釈の仕方によってはいいとも悪いとも受ける事柄について、悪いイメージだけを発信することも出来ます。これはまた次の機会に。


ちょっと待った!
今回の例題では「じつはBさんが企んだ罠だった」としましたが、現実世界では誰かが仕組んだとは限りません。たまたま事実をもとに話が膨らんだ可能性もあります。

とは言え、意図的な煽動でなくても、結果的に事実であっても、「悪口や悪い噂はみだりに真に受けるべきではない」というのは鉄則です。まして誰かが仕組んでいる可能性があるのなら、なおさら警戒すべきです。

なお言うまでもなく、例えば「ある人だけがことさら金に目がないように言う」のが問題なのであって、「そもそも、あまり金、金などと言わないに越したことはない」という一般論はまた別の話です。


筆者の見解
どんな些細な欠点でも、それを膨らませて吹聴することは容易です。日本広告審査機構(JARO)でも、「嘘」「紛らわしい」だけでなく「大げさ」な広告についても改善の対象としています。「大げさ」な物言いが、「嘘」と同様に問題のある行為だと考えられていると言えそうです。

問題広告は、他と大して変わらない長所をその商品だけのことのように「大げさ」に言います。一方、悪い噂は他と大して変わらない短所をその人固有のことのように言うのです。

「嘘を見抜くことが大事」とよく言いますが、言っていることが事実なのか嘘なのかだけに気を取られていてもいけないということです。


演習
以下の2つの文章について、検証してみてください。

1・「C君が描いたイラストは、漫画家の○野○夫の絵柄を真似しているだけだ」
2・「古代ローマは、周辺の国と戦争ばかりしていた」




※解答例はこちら。
1・独創性も大切ですが、今は真似される側の人も含め、殆どの絵描きは人の絵柄を真似ることから始めて、徐々に上達していったのではないでしょうか。

 
また、誰もがお互いの絵柄を全く参考にしないのでは、恐らく全体のレベルの向上もあり得ないと思います。

※余談ながら、筆者はこういうことを言う人は自分で絵を描いたことがないのではないかと思ってしまうのですが…。

 
2・むろん、歴史を遡ればどこの国も戦争をしていたことでしょう。もっとも、一般論としては戦争しないに越したことはありません。
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例題
タケシ君「○○高校は創立100周年らしいけれど、今までスポーツでは大した成績を残してないんだぜ」
カオル君「そんなことはないよ。20年前に、野球部が甲子園に出場したらしいよ」
タケシ君「でも、それは20年も前の話だろう?」

……日常的にありがちなやり取りですが、よくよく考えるとおかしいのですよ。


ここがおかしい――
たった3行の会話ですが、話が途中で摩り替わっていることに気付きましたか?

会話が始まった時点では「創立して100年も経つのにスポーツでは成績を残していない」という○○高校の過去のスポーツでの実績の有無についての話題だったはずです。それなら例え20年前だろうが、甲子園に出場したのは事実です。

ところが何故か、会話の後半では「甲子園に出場したと言うが、それは20年も前のことで今は凄くない」と野球部の現時点での実力についての別の話題に摩り替わっています。


解説
相手があくまで自説への反例として持ち出した事例なのに、あたかも相手の側がその事例をもとに何か別のことを言い出したかのように話を摩り替え、それに反撃する論法です。

もしこれが

カオル君「○○高校の野球部って凄いんだよ。甲子園に出場したらしいよ」
タケシ君「でも、それは20年も前の話だろう?」

と、カオル君の方から野球部の現時点での実力についての話題を切り出して、そこへタケシ君が20年も昔のことだから大したことはないと反論したのなら、特におかしくはありません。

でももう一度例題を読み返してみてください。最初に話を切り出したのはタケシ君の方で、その内容は○○高校の過去のスポーツでの実績の有無についてです。

タケシ君「○○高校は創立100周年らしいけれど、今までスポーツでは大した成績を残してないんだぜ」
カオル君「そんなことはないよ。20年前に、野球部が甲子園に出場したらしいよ」

カオル君がきちんと反例を挙げて反論したわけですから、タケシ君の説はその時点で既に論破され、この話題は終了していることになります。

別にカオル君の方から「20年前に甲子園に…」などと言って野球部の現時点での実力について甲子園級だなどと主張したわけではありません。ところがタケシ君はまるでカオル君の方からそういう話題を持ち出したかのように、「20年も前のことじゃないか」と反論しました。

論旨を摩り替えた上でそれに対して反論しているので、話の後半だけを聞くとあたかもタケシ君がカオル君を論破しているように見えてしまうのです。

さて、ここで注意して欲しいのが「20年前だけど、野球部が甲子園に出場したらしいよ」という言葉が、どういう話の流れで切り出されたかという点です。いきなりカオル君の方からこう言い出したのなら、カオル君は言外に「甲子園に出場するくらいだから、○○高校の野球部は凄いんだぜ」と主張していることになります。

しかしあくまで例題の場合、カオル君はあくまでタケシ君の話の反例として「20年前だけど、野球部が甲子園に出場したらしいよ」と言ったに過ぎません。つまり上記のようなニュアンスは含まれていないのです。


ちょっと待った!
これが例えば

タケシ君「○○高校は創立100周年らしいけれど、今までスポーツでは大した成績を残してないんだぜ」
カオル君「そんなことはないよ。20年前に、野球部が甲子園に出場したらしいよ」
タケシ君「いや待て、それは同じ○○高校でも、別の県にある兄弟校の方じゃないか?」

という反論であれば、当初の「○○高校は今までスポーツでは大した成績を残していない」という主題からまだ話が繫がっていますので、今回のケースには当たりません。


筆者の見解
自分の言ったことに対して相手に鋭い反論を受けて、悔し紛れで再反論しようとすると、この例題のタケシ君のような論法を繰り出してしまいがちです。

もしかするとタケシ君は、普段から○○高校のことを快く思っていなかったのかも知れません。○○高校を悪く言うつもりが、あっさりと反論されてしまった。とにかく何か言い返そうとして、話題を摩り替えてしまったわけです。

今回の例、日常の会話でもありがちなやり取りではないでしょうか。家族や友達相手の雑談なら、途中で話題が変わっても大した問題ではありません。

しかしネットの掲示板やテレビの討論番組、さらにはきちんとした議論の場などにおいて、こうした間違った論法を振りかざす人がいないとは限りません。そもそも今何の話をしているのか、どちらの側がその話を切り出したのか、常に注意して聞いた方がよさそうです。

筆者はこうした論法を切り出す背景に、「とにかく自分が相手を言い負かすことが第一」という考えが見え隠れしている気がします。しかし本来討論というのは、意見を交換することでより正しいであろう考えを模索することが目的のはずです。


演習
以下の会話を読んで、元の話題と、摩り替わった後の話題が何であるか考えてみてください。

みよちゃん「×本×也君のシングルCDが、7週でミリオン・セラーになったんだって。凄い!」
よっちゃん「□崎□彦の曲は、5週でミリオン行ったらしいよ?」
みよちゃん「でも□崎□彦って、ミリオンに行ったのその曲だけじゃない」




※解答例はこちら。
「×本×也のシングルCDが、たった7週でミリオン・セラーになったことが凄い」
→「5週でミリオンに達したから□崎□彦は凄いと言うが、ミリオン・セラーはその1曲だけだ」

ただし、よっちゃんが□崎□彦のファンで、「□崎□彦の方が×本×也より凄い」と主張するためにこのように言ったのなら、みよちゃんの再反論はありです。
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