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メディア――そこは最後のフロンティア。

ここはクイズ形式の例題を読み解いてみることで、
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例題
タケシ君「○○高校は創立100周年らしいけれど、今までスポーツでは大した成績を残してないんだぜ」
カオル君「そんなことはないよ。20年前に、野球部が甲子園に出場したらしいよ」
タケシ君「でも、それは20年も前の話だろう?」

……日常的にありがちなやり取りですが、よくよく考えるとおかしいのですよ。


ここがおかしい――
たった3行の会話ですが、話が途中で摩り替わっていることに気付きましたか?

会話が始まった時点では「創立して100年も経つのにスポーツでは成績を残していない」という○○高校の過去のスポーツでの実績の有無についての話題だったはずです。それなら例え20年前だろうが、甲子園に出場したのは事実です。

ところが何故か、会話の後半では「甲子園に出場したと言うが、それは20年も前のことで今は凄くない」と野球部の現時点での実力についての別の話題に摩り替わっています。


解説
相手があくまで自説への反例として持ち出した事例なのに、あたかも相手の側がその事例をもとに何か別のことを言い出したかのように話を摩り替え、それに反撃する論法です。

もしこれが

カオル君「○○高校の野球部って凄いんだよ。甲子園に出場したらしいよ」
タケシ君「でも、それは20年も前の話だろう?」

と、カオル君の方から野球部の現時点での実力についての話題を切り出して、そこへタケシ君が20年も昔のことだから大したことはないと反論したのなら、特におかしくはありません。

でももう一度例題を読み返してみてください。最初に話を切り出したのはタケシ君の方で、その内容は○○高校の過去のスポーツでの実績の有無についてです。

タケシ君「○○高校は創立100周年らしいけれど、今までスポーツでは大した成績を残してないんだぜ」
カオル君「そんなことはないよ。20年前に、野球部が甲子園に出場したらしいよ」

カオル君がきちんと反例を挙げて反論したわけですから、タケシ君の説はその時点で既に論破され、この話題は終了していることになります。

別にカオル君の方から「20年前に甲子園に…」などと言って野球部の現時点での実力について甲子園級だなどと主張したわけではありません。ところがタケシ君はまるでカオル君の方からそういう話題を持ち出したかのように、「20年も前のことじゃないか」と反論しました。

論旨を摩り替えた上でそれに対して反論しているので、話の後半だけを聞くとあたかもタケシ君がカオル君を論破しているように見えてしまうのです。

さて、ここで注意して欲しいのが「20年前だけど、野球部が甲子園に出場したらしいよ」という言葉が、どういう話の流れで切り出されたかという点です。いきなりカオル君の方からこう言い出したのなら、カオル君は言外に「甲子園に出場するくらいだから、○○高校の野球部は凄いんだぜ」と主張していることになります。

しかしあくまで例題の場合、カオル君はあくまでタケシ君の話の反例として「20年前だけど、野球部が甲子園に出場したらしいよ」と言ったに過ぎません。つまり上記のようなニュアンスは含まれていないのです。


ちょっと待った!
これが例えば

タケシ君「○○高校は創立100周年らしいけれど、今までスポーツでは大した成績を残してないんだぜ」
カオル君「そんなことはないよ。20年前に、野球部が甲子園に出場したらしいよ」
タケシ君「いや待て、それは同じ○○高校でも、別の県にある兄弟校の方じゃないか?」

という反論であれば、当初の「○○高校は今までスポーツでは大した成績を残していない」という主題からまだ話が繫がっていますので、今回のケースには当たりません。


筆者の見解
自分の言ったことに対して相手に鋭い反論を受けて、悔し紛れで再反論しようとすると、この例題のタケシ君のような論法を繰り出してしまいがちです。

もしかするとタケシ君は、普段から○○高校のことを快く思っていなかったのかも知れません。○○高校を悪く言うつもりが、あっさりと反論されてしまった。とにかく何か言い返そうとして、話題を摩り替えてしまったわけです。

今回の例、日常の会話でもありがちなやり取りではないでしょうか。家族や友達相手の雑談なら、途中で話題が変わっても大した問題ではありません。

しかしネットの掲示板やテレビの討論番組、さらにはきちんとした議論の場などにおいて、こうした間違った論法を振りかざす人がいないとは限りません。そもそも今何の話をしているのか、どちらの側がその話を切り出したのか、常に注意して聞いた方がよさそうです。

筆者はこうした論法を切り出す背景に、「とにかく自分が相手を言い負かすことが第一」という考えが見え隠れしている気がします。しかし本来討論というのは、意見を交換することでより正しいであろう考えを模索することが目的のはずです。


演習
以下の会話を読んで、元の話題と、摩り替わった後の話題が何であるか考えてみてください。

みよちゃん「×本×也君のシングルCDが、7週でミリオン・セラーになったんだって。凄い!」
よっちゃん「□崎□彦の曲は、5週でミリオン行ったらしいよ?」
みよちゃん「でも□崎□彦って、ミリオンに行ったのその曲だけじゃない」




※解答例はこちら。
「×本×也のシングルCDが、たった7週でミリオン・セラーになったことが凄い」
→「5週でミリオンに達したから□崎□彦は凄いと言うが、ミリオン・セラーはその1曲だけだ」

ただし、よっちゃんが□崎□彦のファンで、「□崎□彦の方が×本×也より凄い」と主張するためにこのように言ったのなら、みよちゃんの再反論はありです。
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