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例題
3年3組で学級新聞の企画としてこんなアンケートが行われました。
「この学校で一番嫌いなクラスは何年何組ですか」
集計したところ、
1位:3年4組
2位:3年2組
3位:5年1組
4位:6年2組
5位:2年5組
でした。他のクラスとのトラブルの件数についても集計したところ、ほぼ同じ順位となりました。これを知った3年4組の○○君は思います。
「僕は3組のことを悪く思っていなかったのに、あいつらは僕達のことをそんな風に思っていたのか」
その考え方、何か問題はないのでしょうか――
じつは――
5年1組というのは、以前に3年3組と合同でレクリエーションをしたクラスでした。
6年2組は担任の先生が学校で一番怖い人。
2年5組は教室が3年3組のすぐ真下にあり、共用する階段の辺りでよく生徒が遊んでいてトラブルになり易かったのです。
解説
普通に考えれば同じ学年の、特に教室の近い隣りのクラスとは生徒同士の交流は多いはず。交流が多ければ少なからずトラブルの件数も多くなります。必然的に嫌いなクラスとして挙げられ易いのです。夫婦喧嘩も、ご近所の揉め事も、取引先とのトラブルも、相手が連れ合いだから、ご近所同士だから、もしくは取引先だからこそ起こるのです。
また同じ小学校だからといって、3年の生徒が学年の違う1年や6年のクラスについて、どれだけ詳しく知っているのでしょうか。知らないクラスはそもそも嫌いになりようがありません。知らないもの、無関係のものはそもそも評価の対象から外れます。じつは6年4組には悪い生徒が多くて、隣りの6年5組はいつも迷惑を受けているかも知れない。でも教室の離れた3年3組の生徒が一々そんなことを知ってはいないわけです。これに関してはこちらで同様のケースを紹介しました。
もちろん3年3組の生徒の中で、上位にランクインしたクラスに仲のよい友達がいる子もいたでしょう。しかし今回、質問の内容がそもそも「嫌いなクラスは何年何組ですか」だったことも見逃せません。強いて嫌いなものをあげろと言われたらなおのこと、よく知っているお隣りのクラスにとりあえず投票することになります。この強いて嫌いなものを挙げるという質問形式もまた、誤解や錯覚を生む原因となります。
なのに、例に挙げたようなアンケートの結果をうっかり「隣りのクラスは自分達を特別に嫌っている」などと誤解してしまうのです。
ちょっと待った!
なお一応、本当に4組の誰かが3組の何人かに迷惑を掛けていたために、このような結果になったことも考えられますが、それならそれで4組の側が悪いわけです。
筆者の見解
人間、何か自分が揉め事の当事者になった時、相手が特に悪い人のように感じてしまいます。しかし得てして、「付き合いのあるお隣りさんとは多少なりともトラブルも起こる」レベルではないでしょうか。
別の見方をすれば、いい影響も悪い影響も受けるのがお隣りさんだとも考えられます。なのに悪い影響の部分だけをことさら取り上げるのは危険な考え方のように思えます。
なお、今回の例題はよくある錯覚として紹介しましたが、その気になれば煽動の材料にもなってしまいます。
例えば3年4組の××君が3年3組の△△君に個人的に嫌がらせを受けたことがあったとしましょう。××君は3組でのアンケートの結果を知って、腹いせに3組と4組とをケンカさせようと目論むかも知れません。恐らく××君はクラスの仲間に言いふらすでしょう。
「あいつら3組は俺達4組のことをそんな風に思ってるんだぜ。本当に嫌な連中だぜ」
あなたもネット上、あるいは雑誌などで上記のような発言を目にしたことがなかったでしょうか?
さらには××君は4組でもわざわざ同じアンケートを取るかも知れません。当然3組が上位に来ることは言うまでもないでしょう。アンケートというものを悪用すると、容易に敵対感情を煽れることにぜひ注意してください。
演習
今回紹介した他に、「隣りの○○」に当て嵌まるものを3つ挙げてください。
※解答例は割愛。